動物性繊維の座繰り。兎を釜ゆでにして毛をむしったりすると動物愛護団体がキーキー言うところだが、何千年も虫相手にやっていることなので、文句言う人を見かけない。
この座繰り、工業生産としてはなかなか行われなくなったが、近年ではちょっとブームのような気がする。村おこし的にする自治体や、外国製品に負けそうな繊維業界や、今 流行の伝統文化保護する人達が旧養蚕地や旧紡績地などでやっている。
普段は絹のハンカチとか絹の靴下とか絹のパジャマとか絹の肌着なんかをスリスリしている人達も、繭から糸を紡ぎ出すところを見たら、ちょっと気味悪がるだろう。蛾の蛹を釜ゆでにしちゃうのだから。
この手の自然派ブームは偏りが気になる。ナチュラルな絹糸は、ちょっと臭い。紡いでいる時と同じにおいがする。しかし、消臭などの薬品処理をしないので手触りはかなりいいらしい。ある販売店には「臭くて着られない」というクレームが来たそうだ。都会的になってしまった人間たちが無理して自然的に生きるのは、難しいらしい。