社名をアカ文字で書かないとか、宛名を薄墨で書かないとか、なんとなくいわれのない、縁起をかついだ表現方法というのが、習慣としてある。縁起をかつぐということでは、その有史の幅広さがモノを語る中国は日本に負けていない。有名なところでは、中国料理店や中国雑貨店にある「福」の字のペナント(もしくは貼り紙)。あれが何故逆さまになっているのか、中国人店員に質問したことがある。日本人の感覚で申し上げるならば、「福」が逆さまだと意味も逆さまになって「禍」になっちゃうのだけれども、と。そしたら、中国では文字が回転しても意味は回転することなく、「福が降ってくる、こぼれ落ちてくる」という意味になるらしい。へぇ?、そうなのか。そう何となく納得していたのだが。ついに、日本の商店にも逆さの福を発見しました!!
福田商店。いいですねぇ、電話番号も「2」番です。しぶい。「福」だけ上手に回転させるコツは何だったのか、質問していませんが、きっと福田さん家はいいこといっぱいなのだろう。
現代が作る看板では、こういう現象にはまずなりにくい。そもそも、看板を何十年も長く使おうという思想がすでに薄れている。……というか、ひとつの商売を継続してやろうとしている人が少ない。そんな一時しのぎでいいんですか? ハッピーに福がこぼれ落ちてくるような生活を、広告から考えたいモノです。