マキネッタは、エスプレッソコーヒーを淹れる道具です。でもまだニッポンではそれほど流通していないコトバなので、「直火式エスプレッソマシン」とか呼ばれたりします。
食器や調理具などの販売店を眺めていて、よく目に留まるわけですが、これの使い方が全然わからない。どうして真鍮の弁が途中についているのかもわからないし、それ単体で使う物なのか、何かと組み合わせて使う物なのかすら見当がつかなかったわけです。
ところが、インターネットにはいろいろな動画が落っこちています。
この道具がマキネッタという名称であること、想像通りエスプレッソを淹れる道具であること、水と粉を入れて火にかけるだけの簡単調理であること、などがよくわかってしまったら、欲しくなりましたのです。苦いコーヒーが好きだから。そして今年は、何だか無駄遣いしてみたい気分なのです。
販売店やネットなどをチラチラ見ておりましたが、やがて沸いた気分は少しづつ落ち着きを取り戻し始めます。
「お前は、火の番ができるのか?」
アタマの中のコビトさんが半鐘を盛大に鳴らしていました。たしかに、揚げ物大臣なので揚げ物の番はできますが、お湯を沸かしたりする番は苦手です。お茶を飲もうとやかんを火にかけたまま、やかんの中身が半分になるまで忘れちゃうんですから……危険だ。かといって、ポンプ式のいわゆるエスプレッソマシーンなんてデカい物は欲しくないんです。
だったら……これか。デロンギ DeLonghi エスプレッソ・モカマシーン EMK6(メイカーサイト)。6杯用の電気式マキネッタ。
ほれ、初心者なのに、もうマキネッタと呼ばねばならないんです。マキネッタを直火式エスプレッソマシンとか呼んでいたら、コレは電気直火式エスプレッソマシン……とか、訳わからなくなっちゃうでしょう?
とにかく、そう決めたら勢いが大切です。商品名でグーグって、ノリで購入。いや、ノリで購入できないような高額商品だったら、見向きもしなかったことでしょう。販売店によっては多少の割引や特典などが付いてきます。
東京都下のあるネットショップに注文したら、すぐに商品が到着しました。早速開梱してみましょう!! 左側の素っ気ない箱……愛せませすねー。右側の箱は付属品でもオマケでもなく、ミルも一緒に購入したというだけのコトですので、またあらためて。
箱に入っていた物全部です。無駄にゴチャゴチャ包装されていないのがいいですね。本体と計量スプーンの他に、説明書や保証書。
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使ってみるよ
では、一通り水で流してみたら、早速おいしいエスプレッソを淹れてみましょう。
イタリアのこの類の道具は、洗剤をつけてよーく洗ったりしないのが流儀のようです。よくあるアルミ製やステンレス製のマキネッタは、親子代々、コーヒーの香りを蓄積させていくそうです。中華鍋みたいなものですかね? 洗剤などをつけると洗剤臭くなってコーヒーがおいしくなくなるからだそうです。
ご丁寧にも「高温注意」なんてステッカーが貼ってありますが、コレはニッポンに来てから代理店が貼ってるんだよねぇ? なのにこの剥がれっぷり。ニッポンの工業製品にはあり得ませんが、高温になることくらいわかっているので(自己責任において)剥がします。
そしたらこの剥がれっぷり。どこまでも愛せます、イタリアの工業製品。
初体験で粉どーすんの? と思っていたのですが、オマケで付いてきました。親切な販売店だなー。イタリアンブレンド・エスプレッソで、すぐに試せます。
1. ボイラーに水を入れる
上下に分かれた下部分がボイラーです。イタリア語でもボイラーなのか? ニッポン製品とちがって「ここまで水を入れる」なんて刻印があるわけではないのですが、圧力弁よりも下までにしておきました。あまり水位が高いと、バスケットをセットしたときに水が吹き出ちゃいますから注意。
【追記】3/19 何気なく「圧力弁の下まで」って書きましたが、実際に圧力弁より上まで水を入れると、粉を入れるバスケットにいきなり水が侵入してきます。やぱし、「圧力弁より下」で正解なようです。
直火式は気にすることないのですが、電気式なので底に電極がありますから濡らさないように注意しなくてはなりません。
2. バスケットに粉を入れる
エスプレッソ用に極細挽きされた粉を入れます。粗挽きではインスタントの顆粒の小粒くらいな感じですが、エスプレッソ用の極細挽きは、「粉」ですね。この粉でいっぱいに満たします──が、無理に押し込まず、ふんわりと盛っていく感じがいいみたいです。
ちなみに、このデロンギEMK6を購入するに至った決定的な特徴として、バスケットを2分割できる仕切りがついているということです。そもそもデミタスカップ6杯用ですが、バスケットを半分に仕切って半分の量の粉と半分の量の水で、3杯分だけ抽出することができます。また、半分の粉といっぱいの水で、ちょっと薄めのエスプレッソを抽出することもできます。
どうやら、バスケットの中が粉で満たされていることが重要なようです。この仕切りが無く、ただ粉を半分にすると、バスケットの中でちゃんと粉が蒸されないのでしょう。
最後に面を平らにし、縁に付いた粉を払い落としてから、静かにボイラーにセットします。慌ててやると、粉が飛び散ってウザいです。
3. ボイラーとサーバーを合体
ボイラーにバスケットをセットしたら、サーバーと合体させます。このとき、ハンドルを持って回転させると、ハンドル部分から壊れそうなので、やめた方がいいと思います。
壊れるほど回すこともないと思いますが、圧力がかかりますので、よく締めておかないと接合部から吹き出す可能性があります。
4. マキネッタをベースに乗せて、スイッチオン!!
平らなところでやらないと、こぼれたり転倒したり、良くない状況に陥るかもしれません。また、ベースから出ているコードを100Vにつながないと通電しません。これ、忘れると、何事も起こりません。
通電すると、赤ランプが点灯します。なお、マキネッタは360°どちら向きにも置くことができます。約30分で自動的に電源OFFになるそうですが、持ち上げるとスヰッチがOFFになります(電源再投入で、また約30分後にOFFになるようです)。
5. とりあえず、いい匂いを楽しみましょう
下段のボイラーを熱すると、中の水と空気が膨張し、バスケットのコーヒー粉の間を熱湯が上がってきてサーバーのまん中にある筒の上部にある穴からコーヒーが沸きだしてきます。誰がこんなコト思いついたんだか知りませんが、原始的で確実です。
また、サーバーが透明な樹脂製なので、エスプレッソ初心者が眺めて楽しむのにも適しています。抽出が始まったのかとか終わったのかとかもよくわかります。
室温などにもよるのでしょうが、水いっぱい粉半分のこの時は5分くらいでこのくらい抽出されました。最後まで待って6分くらいだったと思います。
6. カップに注いで、できあがり!!
デミタスカップ6杯分≒マグカップに1杯分できます。砂糖を入れていただくのがイタリア流のようです。また、温めた牛乳などを加えると、あれになりますよ。カプチーノ? それは泡立ってる牛乳のときだけ? しからば、カフェラテとかカフェ・オ・レとかなのか?
潔癖さんには気になることも
あるレビューでは、こんな意見もあります。
サーバー部分(できあがった珈琲ができる所)に問題があります。
前回作った珈琲やサーバーを洗った洗剤が、ある1点から、珈琲を作ってるときに次回以降永遠に吹き出てきます。
衛生的ではないと思います。
とか、
洗剤つかったりしちゃだめみたいなんで、水洗いするのですが、上部のプラスチック部分がだんだん茶渋?がついて汚いっぽくなってきます。あと、下部にいたっては水洗いもしちゃだめ、絞った布巾で拭くくらいというので、ますます汚くなっていきます・・・
とか。
無駄に潔癖で温室育ちのニッポン人! そんな細かく衛生的ナントカとか気にして隅々までキレイにしておかなければ気が済まないようなヒトは、そもそもイタリアの工業製品なんか使っちゃダメです。初めにも申したとおり、この手のモノは洗剤でごしごしよく洗わない、という立ち位置で生産・流通しているものと思われます。
……確かに、すすいでもいつまでも出てくるんですよ。エスプレッソの名残が。
これでも2度すすいでいるのですけど。しかし、色素が沈着したりコーヒーがこびりついたりすることで、当家の味になってゆくのを楽しむのが前向きなイタリア流なのかもしれません。平均的で画一的なモノを好む後ろ向きで潔癖な温室育ちのニッポン人の中には、このようなラテン系の道具が合わないヒトがいるかもしれません。埃をかぶったりカビがはえたりしなければ、コーヒーそのものは豆を焙って焦がして粉砕したモノなので、とくに気にするような何かは無いと思います。
そもそも、コーヒーがどれだけ清潔な環境で焙煎されているか、ということとかは心配しないんですかねー? そーゆー過剰に心配性なヒトがコーヒー焙煎工場を見学したら、コーヒーが嫌いになるかもしれません。トマトジュース工場を見学したらトマトジュースが嫌いになるかもしれません。屠畜場を見たら肉が嫌いになるかもしれません。お寿司屋さんが素手で握っているのを見たら寿司が嫌いになるかもしれません。
気にするべき場合あるとすれば、月に数回しか使わないとか。うまく乾燥できなかった時には黴びるかもしれません。その様な使い方のヒトは、食器乾燥機などを使ってよーく乾かしておかねばならないと思います。もちろん、乾燥機を使うときは、パッキンをはずしておいた方がいいでしょう。
でも、ほぼ毎日とか使っていれば、とくに何ということもないと思いますけどね。
これいいですね!電気式のがあるなんて初めて知りました!
海外でマンスリーアパートのようなのを一ヶ月? け借りたら、キッチン備え付け調理道具の中にこれ(普通の直火式の)があって「???」と思った思い出があります。
イタリア人(?)動画がなんかすごくつぼでした。
自分も買っちゃいそう・・・。