フツーのカメラは、だいたい標準か標準ワイドあたりからズームが始まっている。これは、実際によく使われると考えられる範囲と、ワイドレンズを作るコストの妥協点なのではないかと推測しています。
でも、広角好きには物足りない。
仕事で撮影するときは、もちろんそれなりの機材を用意して撮影するわけですが、ちょっと通りがかりに下見できちゃったりしたとき、「こんな場所を撮影予定」ってメモがわりに撮影しても広角側が足りなくて、あっても無くてもどっちでもいいメモ撮影になっちゃったりすることがある。もうちょっとワイドだったらいいのに……って感じに──なるかもしれません。
その様なときに、レンズの前にサッとくっつけて広角〜超広角、または魚眼レンズに変換してしまう追加レンズがワイコン=Wide Convertion Lensです。望遠はある程度物理的なサイズが必要になるため、コンパクトなカメラなどではその構造にかなり工夫をしたりしているようですが、広角は空間的物理サイズはそれほど必要としなくても、レンズそのものの開発がタイヘンらしく、どちらにしてもコンパクトカメラやカメラ付きケータイにはなかなか搭載されにくい。
でも、希望すれば数百円〜数千円で広角側が手に入ります。だから、あるデジカメメイカーは、自社製品取付専用のワイコンを製造販売していたりしますが、他にはとくに無い。汎用品について、カメラと名のつく量販店で訊ねても、調べもせずに「ありません」って言う。ホント商品知識が無い販売員って何の役に立っているのか理解不能だ。
愚痴を言っているだけでは仕方がないので、ネットで探してみて見かけたカクヨウ KSW-1と、ケンコーMPL-WAを購入し、比較してみました。
KSW-1 |
MPL-WA |
カクヨウKSW-1 | ケンコーMPL-WA | |
価格 | ¥1,980 | ¥924 |
送料 | 込み | ¥190 |
倍率 | 0.5倍 | 0.7倍くらい? |
生産地 | たぶん中国か香港 | 中国 |
メーカーページ | カクヨウ(アーカイブ) | ケンコー(アーカイブ) |
実際に購入した 販売ページ |
直営 後にイザワオプト |
ストラップヤネクスト |
2008年3月21日現在の表示を参考に掲載 |
それぞれのページで、違う日に購入。まず初めに来たのは、カクヨウKSW-1。
長3封筒に入った宅急便で届きました。中には、明細書と挨拶文、説明書、レンズクリーナーを兼ねる専用袋入の本体、オリジナルレンズクリーナーが入っていました。余分なパッケージに無駄に投資しないところが好感度ちょい高めです。
後から登場は、ケンコーMPL-WA。
こちらは、小さい段ボール箱に入って郵便で届きました。中には明細書と商品だけ入っていました。
ケンコーはその販路を活用して、店頭にて吊しで販売しようという戦略のパッケージになっていますが、このパッケージ要らねー。背後にある説明書などを兼ねたボール紙はともかく、手前の透明な樹脂製のコレ、要らない。棄てるのも面倒くさい。
パッケージ比較なんてつまらないので、商品を見てみましょう。
奥から、SO902i・カクヨウKSW-1・ケンコーMPL-WA。ちなみにケンコーMPL-WAの緑色の長いコードはスパイラルカールになっていて、引っぱると3倍ちょっと伸びます。
もともと小さいモノなので、どちらが特別大きい、ということもないけれども、ケンコーMPL-WAの方がちょっと小さく、カクヨウKSW-1の方はボディが金属製ということもあり重厚感がある。また、ヘンテコなクリップが付属しています(取り外せます)。
では、ケータイに装着してみます。まず、カクヨウKSW-1。
前からの見た目はかなりスッキリしてカッコいいみたいですが、実際にはクリップではさんでいるだけです。これは簡単でいいですが、持ち歩きにはあちこちに引っかけちゃいそうで、ちょっと躊躇します。実際の装着には、それほど手間がかかりません。
では、ケンコーMPL-WA。
こちらはとくに装着器具などを使用せず、貼り付ける感じです。貼り付けには粘着性のあるなにかネバっとしたものがレンズの周りについています。これは、くっつかなくなったら洗剤で洗うとまたくっつくようになるやつです。昔流行しましたスライムみたいなものなのでしょう。パッケージ等にはその成分の説明が見つかりませんが、ポリビニルアルコールみたいなモノではないかと思います。
また、こいつを汚れから保護するために専用キャップもくっついてきますが、これが光学的なキャップも兼ねますので、思いがけないところから日光が差し込んで火傷する、なんてコトからも保護されそうな感じがします。実際にはこのキャップが燃えちゃったら意味無いけど。
おしまいに、作例。
うちのベランダでくるくる廻る洗濯物を0.6mくらいの距離から撮影しましたのですが、SO902iノーマル状態の撮影例1。これに、カクヨウKSW-1をつけたのが撮影例2。ケンコーMPL-WAをつけたのが撮影例3。
KSW-1よりもMPL-WAの方がケラレているのがよくわかると思います。ケンコーMPL-WAは取付簡単・持ち運びスマートですけれども、あの粘着質の何かの分の高さが高すぎるため、レンズが本体から より浮かんだ状態になります。なので、よりケラレやすい構造的特徴があると言えます。でも、カメラでズームすればこのケラレも少なくなっていきますので、撮影者も少しくらいは工夫をするとよいでしょう。
なお、うちのSO902iは約0.5mm厚のシリコンジャケットを着用しているため、実際よりもさらにケラレが生じやすい条件での撮影になっています。
写りはどうかというと、カクヨウKSW-1の方が広角なのにレンズの収差による歪みが少ないですね。これは、レンズがガラス製で価格が2倍以上ということも関係しているかもしれません。そのかわり、特徴的な取付具を使用しているため、取り付けられない機種というものがいくらか存在すると思われます。
【追記】2008.06 携帯電話用の魚眼レンズ