先日、まだ昭和の時代に大学生だった方から、ポジのデジタル化を依頼された。同窓会で投影したいのだけれども、スライド映写機を手配するよりもデジタル化してパソコンからプロジェクタで投影した方が楽だろう、という判断なのでしょう。
わかります。同窓会に原版のフィルムを持って行って紛失したりするとそのショックはデカいです。しかも、昭和の時代は今から20年以上前。デジカメなんていう術語すら存在しなかった時代でした。たしか。
また、オープン10年くらい経過したレストランのプロモーションをすることになり、今から新たに撮り直すにしても、新築の時の写真もなかなかいい写真がいっぱいあるということで、やぱしポジを眺めたりしています。リバーサルフィルムは、特殊な機械(たとえばコンピュータなど)を介さなくても、光に透かしてみるとその映像を見ることができるので、とても便利です。
10年前はさすがにデジカメというコトバは開発されていましたが、まだまだ仕事でばんばん使えるような状況じゃなかったですね。フツーに300万円とかしていたのに、30万ピクセルくらいしかなかったし。
ところで、その資産はどっかに眠ってますね? 1コマ、1カット、大切に撮られたその写真は、自分が死んで遺品を整理されるまで表舞台に登場しないなんて、勿体ない!! ……というコンセプトかどうかは知りませんが、そんな昭和の時代から生きている我々にピッタリなバッグが世の中にあるようです。
その名はミステリーバッグ。ちょっと名前がピンと来ませんが、マウントされたリバーサルフィルムをたくさん収納されていて、これなら思い出とともに暮らすことが可能でしょう。
ただ……このバッグは商品として、これらのマウントされたポジフィルムがデザインに「込み」の状態で出荷されるみたいですね。たぶん。たとえば「England 1990」という商品は、おそらく1990年のイングランドで撮影されたポジのデュープが入って来るのではないかと思われます。
「思い出は、色褪せない」とかいくらかっこいいコピーを考えたところで、実際問題としてフィルムは変褪色します。でも、それも生きてきた証。経過した時間が、事実として一瞬を切り取ってきた写真を思い出に昇華させるのかもしれません。
まだしばらくポジとたわむれることになりそうなので、なんとなくノスタルジックな気分になっています。