村上春樹著「ノルウェイの森」が1987年に出版されてからすでに20年以上経つのか……。当時から結構売れていたように思うけれども、天の邪鬼なので「売れてるモノは欲しくない」と思っていましたから、鎮火してから読んだんじゃないかと思います。
その原作に対して、映画化のオファーはいくつかあったらしいのだけれども、このたび、ベトナム系フランス人トラン・アン・ユン監督によって映像化され、2010年公開予定で撮影が続けられているとのこと。
その一幕が、高崎市内で撮影され、大量に必要なエキストラとして出演しがてら、撮影の様子を眺めてきました。
舞台は1969年という設定のコンサートホール。エキストラは聴衆役で、演奏家は群響でした。そこへワタナベ(主人公、松山ケンイチさん)と永沢さん(玉鉄さん)とハツミさんが来る、というシーン。
1969年ということで、女性を中心に、みんなオカシな服に、オモシロヘアーになっちゃっていました。気合い充分に服も髪も自前でバッチリやってきているヒトもいましたし、まぁ、そこそこで来て衣裳をあてがわれたり髪型をグルリと変更されているヒトもいました。
男性も、ピチピチで裾がちょっと広がったパンツに、ピチピチのテロテロシャツ、というヒトが何人かいましたが、それは衣裳なのか自前なのか定かではないですねー。
実際に演奏された曲がそのまま作中にも使われてくるんじゃないかと思われますが、小道具として手渡された「演奏会プログラム」に書かれた曲目とは全く関係なかった。曲目って、何でもいいんだっけ? とか思いましたが、それほど重要なコトではないみたいですね。少なくとも、監督の解釈では。
エキストラは観客役ということで、まとめて約500人が集合しましたが、衣裳・髪型・小道具等のチェックなどの関係で、1時から5時までの時差出勤になっていたようでした。案内されたように3時頃に行きましたが、すでにたくさんのヒトが支度を整えて待機していたり、さらに後から続々と集まってきたりしていました。
さて、なぜ突然1シーンだけ群馬で撮ることになっちゃったのでしょう? よくあることですけど。勝手な想像では、昭和40年代というイメージの適当なコンサートホールが見つからなかったのではないかと思います。高崎の群馬音楽センターは昭和36年築。アントニン・レーモンドが設計の、今となっては文化的価値も高い音楽ホールとして、今なお使用されています。そこから、余計なコインロッカーとかを取り去ると、ほとんど手直ししなくても昭和な感じになってましたねー。非常口のサインなんかも、ピクトさんがいない非常口って書いてあるだけのものがほとんどだし。
この物語の映画化にほとんど興味が無かったけれども、いざ、ほんの少しでも関わってみると、どんどん気になってきます。
とくに、ハツミさん役のヒト、誰だ? とか。ってなると、突撃隊はだれ? とか(わからない)。
ちなみに、冒頭の写真は、撮影の記念品としていただいたもので、文庫本型メモ。中身は白紙なので、ノルウェイの森を読み直そうと思うならば、その一字一句を記憶の向こう側から呼び出して想像しなければなりません。
きっと、監督はフランス語で読んだのだとは思うけれども、フランス語訳は誰で、どのように訳されているのかも気になる。取り寄せて、辞書片手に読破してみる?
【リンク】映画 ノルウェイの森