まだ、研究段階ってことのようですけど。
映画館や試写会なんかに置いて、デジタルビデオカメラなどで盗撮された映像が、そのままインターネットを介してばらまかれてしまう犯罪を防ぐために考えられているようです。方法はいろいろ思いつきますが、盗撮を防ぐ以前に映画を愉しむ邪魔になっては意味がない。観覧者にはそれと気づかせない方法ということで、ニンゲンの視覚では認識できないけれども、カメラの撮像素子は感光する範囲の赤外線を投影しようという研究が進んでいるそうです。
今まで考えられていたのは、映像や音声に「透かし」を入れて、撮影された上映館やその時刻などを特定できるようにしておこう、という考え方だったようです。でも、解析すればわかる程度にちゃんと写る防犯カメラ設置とかが無ければ、盗撮者を特定できず、意味ないじゃーん! っていうことですよね。
そこで、違う観点から考えられたのが今回の方法。上映されている映画を撮影するだけで違法ですが、せめてその盗られた映像が再利用しにくいようにしちゃおうぜ、という考え方ですね。やや後ろ向きな考えですが、盗った映像が使えなければ撮る意味も無くなるので、抑止効果としては悪くなさそうです。
その方法として、赤外線をスクリーン後ろから投光するというやり方。
世の中のヒトたちは、映画館に行くと後ろの方の座席に座っちゃうのでなかなか知らないとは思いますが、最前列か2列目くらいで見ている者は知っている。銀幕——そう文学的に呼ばれたりすることもある映画スクリーン——には、実は細かい孔がポツポツあいているのです。それを利用し、スクリーン背面に投光器を設置し、ニンゲンの視覚にほとんど影響無い赤外線を発する、と。そうすると、細かいその孔からビデオカメラには写るのにニンゲンにはほぼ見えない光が漏れてくるわけですね。
さらに、しつこいことに、10Hzくらいで点滅するそうです(1秒間に10回)。そうすると、ビデオに映った画像には、常点灯よりもさらに視覚的障害となるそうです。すげー。
これなら、安いカメラで盗撮すると、さらに走査速度の問題も加わって、かなり気分を害す効果を発揮できそうです。
【リンク】怪奇な画像が撮れる謎
また、CCDやCMOSなどいろいろなセンサーがありますが、不可視光線の扱いはその設計によってまちまちなので、副次的な効果として、どのカメラ(機種)で盗られたのかということもある程度絞り込めそうですね。
まだまだ、今日・明日にというわけにはいかなそうですが、これは実用化が難しくなさそうな感じがします。実験ではただ四角く赤外線を投光していますが、何かメッセージを織り込んでもいいですよね。「No, candid shot!」とか。上映館名……では、あそこの映画館は盗り放題ってバレちゃうか。では「この映像を見たらここに連絡してね」的なメッセージとか。中国向けに共産党指導者を罵倒するメッセージとか。アラブ諸国向けにあの唯一神を罵倒するとか。
ちなみに、有害な赤外線をカットするフィルタの対応とかどうするのかも見所でしょう。じゃぁ、不可視な紫外線も一緒に投光する?
この研究には、目の付け所がシャープなあの企業が加わっているそうです。
【リンク】国立情報学研究所 クニタチじゃなくて、コクリツですよね?
via ITmedia News
「撮影禁止」って貼り紙だらけのライブなんかでもよさそうですよね。