電子デバイスの弱点として、「電池切れになるとただの邪魔なゴミ」と化してしまうことがあげられると思います。電気あってこその電気製品なわけです。ところが、電池切れの電池は「重くて邪魔なゴミ」になってしまいます。
それなのに、電気製品の重量を説明するに際し「電池は含まない」とか普通にある。意味ないじゃん。たとえばデジ亀の製品案内のページではこうなっていました。
わずかでも重量を軽く表現したいために、ウソをつくわけにもゆかず、仕方なくはずせるパーツはすべてはずして表現することとなったのだろう。でも、電池を装備しないデジ亀を持ち歩くシチュエイションが思いつきません! どこもウソが書かれていないし、しっかり「電池・カード含まず」って書いてあるにも関わらず、敢えて悪く言うならばそれは「体裁が整えられた偽装表示」と言えましょう。
さて、この頃は重量表示にも工夫がされていて「ペットボトルより軽い」という表現で語られるようです。「○○g」と書かれても、それが実際にどのくらいのことなのかわかりづらいし、比較したときに数グラム程度の差に置いてわずかながら数グラム軽いことがアドバンテージとならないことに、売り手が気づいたからでしょう。
【リンク】使いやすさ日記
ところが、よく見るとこれもまたトンデモ表示だったりします。
世界最軽量385gのカメラ重量は、必ず「本体」って書いてあります。これに電池が含まれるかどうかビミョーな問題には触れていません。カタログ内のどのページにも、ただ「本体」って書いてあるだけです。そして、イラストに含まれる写真を見てわかるように、レンズすら含みません。
誰がレンズを付けない世界最軽量カメラを持ち歩きたいんだ?
目の前に実物がなくても重さを直感的に把握する事ができました。この様に、わかりにくいスペックの数字だけではなく、生活の中から得た感覚を比喩的に活用する事で、情報を容易に伝えられる事を実感しました。
ほらー。実感しちゃってるよ。
この実感のまま、本体に電池+レンズで出かけると「ペットボトルを持ってるよりも重く感じたぜ。世界最軽量なんて全然軽量ではない」って言われちゃうかもしれない。
電池はともかく、レンズは選択肢の幅が広く、単焦点の広角レンズと望遠ズームレンズでは体積も質量も大きく違ってきます。世界最軽量なのはちょっと書いておけばわかりますが、消費者としては、そんなことよりも実際にカメラを持ち歩くとどうなのか、ということが重要なんじゃないかと思います。
ペットボトルと重量感覚を比較しなければわからないようなヒトたちに向けて広告するならば、「標準的なこのセットで、○○g」って表現した方が、より親切なんじゃなかろうか? カメラ本体に電池を装備して、それに加えて数百グラムのレンズを付けることが想像できないようなヒトをターゲットにしてるんでしょ?
例示した製品の場合、20mm単焦点レンズならばわずか100g。本体にプラスしてもまだ485gだ。これでも充分に「ペットボトルより軽い」と堂々と宣言できるでしょう。でも、14-140mmのズームレンズは、レンズ本体だけで460gもあるということは、気にして見ないとわかりません。これじゃ、いかんね。どうせ、これに電池が無ければ動かないわけだし。
ファインダーとか、外付けストロボとか、そういうのは別でもいいんじゃないかと思います。でも、電池とレンズが無ければカメラとしての基本機能すら使うことができないわけなので、もうちょっと具体的で実際的な表現をしてみたらいかがかと思う、この頃なのです。
他人の振り見て我が振り直します。
【参考】カタログ(PDFファイル、約10.8MB)