印刷インキは顔料をビヒクル(vehicle)で練ったモノで、ビヒクルには石油系油脂が使われる。しかし、掘削し消費するだけの石油ではなく、計画的に生産できる油脂を使って環境に配慮(?)しようということで、大豆油で練ったインキをソイインキ(SOYINK)と呼び、それを使用していることをアピールするためにソイインキシールが使われてきた。
このマーク、ア〆リ力追随大好きニッポン人にはあまり抵抗がなかったかもしれません。明らかにアメリカ国旗をイメージしていて個人的には気に入らなかったのですが、2011年、これの使用期限を迎えることになったようです。このソイインキシールが使えなくなることで、アメリカ国旗の呪縛からも解放される方向のようです。
アメリカ大豆協会・ソイシール使用許諾契約業務終了のご連絡–2010/8/2
アメリカ大豆協会は、組織変更のため、ソイシール使用許諾契約業務を9月末日にて終了することに致しましたので、ご連絡申し上げます。ソイシール商標登録有効期限は2011年4月末日となっておりますので、ソイシールの使用は2011年9月頃まで可能です。
(後略)
[アメリカ大豆協会]
で、ニッポン国内においては、コレに代わるマークが使われることになったと言うことです。
インキ製品のラベル表示切り替えに関するお知らせ
ソイシールから植物油インキマークへ植物油インキマーク制定から1 年余が経過し、今後の運用等につきまして検討した結果、植物油インキ製品のラベル表示は今年10 月1 日を目処にソイシールから植物油インキマークに順次切り替えていくよう、会員各社に対して要請しているところであります。
(後略)
[印刷インキ工業連合会]
というわけで、印刷インキ工業連合会が指定する、ミドリ色(C78% M25% Y95% K0%)のマークを付けてアピールすることに代わるようです。
新しく使うことになったマークは、大豆油に限らず、植物油を使っているというアピールで、植物油に大豆油も含まれるということですね。出っ張りや凹みの多い、何とも使いづらい形状です。長方形や円で囲まれるマークならまだましなのに、どこのデザイナー大先生が作っちゃったのやら、困ったモノです。
参考までに、データを置いておきます。印刷インキ工業連合会のガイドラインに従った使用をお願いします。
- 印刷インキ工業連合会【リンク】
- 植物油インキマーク デザインガイドライン(PDF)
- 植物油インキマーク(EPS)
今までのア〆リ力基準では、大豆油のインキのみを宣言対象にしていましたが、環境問題に加えて食糧問題というやや、ややこしい問題も同時発生するようになりました。このことから、非食用の亜麻仁油やら桐油やら、とにかく、生産できる植物油を使い石油は非使用または減量などすることで、バランスを取っていこうという方向のようですね。
それにしても、今でも「ビヒクル」って言い続けてるのかな? 20年前「そりゃねーぜ!」とか思って印刷概論を聞いてたわけですけど。
【追記】2011.03
SOYINKシールの登録再開したようですけれども、インキの商品には付けない方向は変わらないようです。
M.C.P.C http://blog.dtpwiki.jp/dtp/2011/03/post-cf03.html