金箔なんて、安定性が高く変化しにくいので、食べたところで金箔混じりの排泄をして終了なのでは。でも、贅沢を自ら実感し、他に誇示する目的なのか、21世紀になってもまだ金箔を食べる習慣があるニッポン。
先日、ちょっとしたどうでもいい日本酒を購入してみたところ、お正月特別仕様ということなのか、金箔が添付されてきた。入れとけや。
オマケで金箔を付けちゃうなんて、どんだけ太っ腹なんだ? という気がしたのに加え、「ケータイなどを回収して豊富な廃レアメタルを再生しよう!」とか言っているヒトたちが何だか空虚に感じられた。裏で努力しているヒトの存在を知りながら、わざわざ浪費をする。
金箔が付いてくる、と言ってもわずか。指先に少し、という感じ。しかし、そのわずかな量も、大量生産大量消費を礼賛するニッポンに於いてはそれなりの量になることだろう。
「そんなの、下水処理場でレアメタル回収処理してるからいいんじゃい!」というヒトもいるだろうね。たしかに、税を使ってする事業としてはふさわしくなくないだろう。でもさ、ちょっと違和感あるんだよ。「給食費払ってるから、いただきますって言わせないでくれ」みたいな、変な気分。
ちょっくら調べてみる?
さて、この食用金箔について、ちゃんと丁寧な説明書きがありましたので紹介しましょう。
まず、目に付くように書かれているのは管理の問題。でも、たいていのニッポン人ならそこはさらりと読み飛ばしてしまうことでしょう。だから本質が見えなくなりがちなのかもしれないけど。
その次に、否応なく目に飛び込んでくるのはこれだ。
金の純度は99.9%です
こう書かれていると、もうすでに「この食用金箔は99.9%の金なのだ」と思い込んじゃいません? 思い込むよねぇ? でも、ちと待て。金屏風を貼る人とか蒔絵師とかの作業を思い出して貰いたい。あの人たちは薄くてペラペラないわゆる金箔をそーっと扱ってないか? 鼻息でも揺らいじゃうような、薄い箔だ。気軽に安物の酒に添付して添加できる用な雰囲気ではない。
価格とか高尚さとかじゃなくて、物体として取扱が難しそう。
それで、成分比もちゃんと書かれているので読んでみる。
プルラン95% 金3% ツェイン2%
「金の純度は99.9%」に目が眩んじゃうと見えなくなるけれども、「食用金箔」に含まれている重量比3%の金の純度が99.9%っていうことだ。純度が100%じゃないから、実際には2.997%くらいなのかもしれません。
じゃ、残りの大部分を占める「プルラン」と、申し訳程度に添加されている「ツェイン」って何だ?
天然由来のフィルムシート
どちらもフィルムだと言うことがわかりました。片方が水溶性で、片方が非水溶性。詳しい構造についての説明はなかったけど、きっとこういうことなんじゃないか?
- 金箔そのものはピラピラすぎて一般人には気軽に扱いづらい
- なら、補強しよう(プルランでコーティング)
- 水溶性シートだと湿気を吸って互いにくっつき合うので、さらにコーティングしよう(ツェイン)
フィルムコートすることで、ある程度の張りや強度が出てくるので、扱いが簡単になりそうです。
阿呆みたいにいろんな種類がある食用金箔
プルラン・ツェインともに、いろいろな人が解説していますので詳しくはグーグる先生のお導きを頼って頂くとして、この食用金箔をほぼ寡占していると思われるツキオカのウェブサイトをみてウケた! 種類ありすぎだろ!
そして、意外に安い。これでも充分儲かっているんだろうから、原価どんだけなんだ? と不安になる。
中には「祝」などの文字に切り抜かれた食用金箔までちゃんと用意されてるんだから、ため息が出ちゃう。おせち料理セットの黒豆パートの原価を23円押し上げる要因は、お前だったのか! 見落としがちだけれども、こういうのって、あるよなー。感心する。
その商品レビューがまたおかしい。
これでいつもの料理もお正月らしくなると思います。
なぜ金箔が付くといつものお正月らしくなるんだ? とか。ツッコミ所満載のレビューコメントで平和に賑わっているようです。