なぜか秋になると旬だとされる洋菓子「モンブラン」。それは、栗を使うと言うことで、ニッポン人の秋の味覚「栗」がたくさん使われるから秋の味覚モンブランということになっているのでしょう。
ところで、モンブランという名称。これはフランス語で
モン(mont) = 山
ブラン(blanc) = 白
ということで、スイスーフランスの名峰モンブランもひっかけて「白い山」ということらしい。栗のどこが白いんだというとどこも白くないんだけど、仕上げにシュガーパウダーをかけるところが白いんだ、というヒトが多い。
なるほど、シュガーパウダーがかかってる。でも、随分控えめだしよ。
いやいや、控えめすぎでしょう。「白い山」という意味の「Mont Blanc」じゃないとしても、夏の名峰モンブランだってもっと白いですよ。たぶん。
それで、フランス語の先生に「洋菓子モンブランって全然白くないんだけど、それじゃ『モンブラン』という名称は名に偽りあるのでは?」と質問してみた。そしたら返って来た答えが予想を超えていた。
Mont Blancは「もんぶらん」じゃねーぜ
誰がどこで間違ったのか、「Mont Blanc」はローマ字的読み方で「もんぶらん」っぽいのだが、実際にはカナで書けば「もんぶろん」っぽい発音になるのだそうだ。だから、ガイコクで「もんぶらん」と言っても(全く通じないことはないけど)何となく「はてな?」っていう感じになるそうです。ナルホド。
ところで、「白い山」じゃなくて「茶色い山」だとしたら、フランス語でどうなるのかというと……「Mont Brun」。カナで書くとすると「もんぶあ゛ん」? どちらかというと、Mont BlancよりもMont Brunの方が「もんぶらん」っぽい感じになるそうです。まじで!
っつことは、
白い山 = Mont Blanc
としてニッポンに入ってきたけれども、結局茶色い山になっちゃっている現状。ところがそれが
茶色い山 = Mont Brun ≒ モンブラン
つまり、ぐるりと回って、より正しい表現となったようです。まじで? マジっぽい。
まぁ、ニッポンでは白くも茶色くもない、キイロい……というか、栗の色したモンブランがよく見かけるヤツですよね。
もはや「ブラン」でないだけではなく、「モン=山」ですら無い。これが山なのだと言い張るならば、「モンジョーヌ Mont Jaune」とでも呼ぶべきか。山にこだわるならば、ずいぶんなカルデラだなぁ。
いやいや、「モン」はすでに「山」であることを放棄して「私のキイロ= mon jaune」なのかもしれない。
っていうか、モンブランっていう名前なのに、こんな奴も!
どこにも「ブラン」的要素がみあたらない紫芋のモンブラン。そこまでして「モンブラン」を名乗らせたい理由がちっとも理解できない。
みなさまのお気に入りのモンブランは、どんなでしょう?
【リンク】YokoShimizuプライベート語学サロン、モンブランの大解剖、栗の花