時々耳かきを紛失する。持って出かけることはまず無いので、どうせ家の中にあるのだけれども、いったいそれがどこに行ってしまったのかさっぱりわからない日がある。そんな悶々とした日が続くと、ついに諦めて新しく買ってきたりする。最寄りのスーパー(車で片道30分)でたまたま見かけたので購入してみたら、3本で298円。1本が行方不明でもあと2本があるという親切設計か。
GREEN BELL は緑鈴? なんだべな。adonisは美少年の神で女神たちに嫉まれて殺されちゃうんだったよね。そんな哀しげな耳かき。
これが、なかなかイイ感じではない。ちょうどいいところに到達しないというか、到達してもそのタッチするフィーリングがいまひとつというか。なんだか気に入らないなーと思いつつも、他に無いので我慢して使ってた。そのうち慣れちゃうんだろうとか思いながら。
そしたら、予想通り見つかった。
紛失と思ってたお気に入りのやつ。10年は使ってるか。シャベルの反対側の、ポヤポヤしたやつが付いているような部分には、おばあちゃんのマスコットが付いてたのだけれども、いつのまにかばあちゃんは行方不明。年老いて徘徊中に見捨てられてしまったものと思われます。
見つかったついでに、新しい美少年モデルがどうして不満足なのか、そのデザイン、形状を確認してみることにした。
わざわざ説明するまでもないとは思うけれども、永年使って飴色に変化している方がお気に入りの耳かき。白っぽい真新しいのが緑鐘美少年モデル。
色調よりもまず、仕上げのなめらかさの差があるように見える。新しい方美少年モデルは細かいバリがあって、これがそのうち耳中の脂分なんかで馴染んでくるのかとも考えられるけれども、馴染むまではバリがバリバリしてるわけだ。作る方は「永年使い込んで馴染ませろ」とかいう立場かもしれないが、耳かきにおいては利用者はファーストタッチから本気だ。暖機運転も慣らし運転も無いのだ。
それから、形状もちょっと気になる。
腰のくびれはどのくらい使用感に影響があるのかわからないけれども、シャベルの部分の丸みは圧倒的にマイお気に入りの方が美しく円い。美少年モデルは、カドは取ってあるもののそりゃ四角の角丸だろ、という感じ。
そして、美少年モデルは軸の部分からストレートになっているスクープ部分も、マイお気に入りの方はスッと薄くなってその先も徐々に厚みが薄くなっている。
一つ一つは単価の高くないものなので、どこまで手を抜くかというところで生産性が決まるのだろう。そして、なかなかしっくりこさせずに繰り返し購入させたいという邪なココロもあったりするのだろう。
それでも、燃やしたり棄てたりしなければ失くならないものなので、いちど殿堂入りするとそれを超えるものを探すのはかなり大変だ。
できることならば、焼き印でも入れておいてもらうと、次に探す時の参考になってよいのですけど、どうですか? 耳かき製造職人のみなさん! 個人的にはこの婆さんマスコット付だったこの耳かきは他人にもお勧めできる一品と感じていますが、いつどこで購入したものなのかはさっぱりわかりかねます。
そういえば、親の家にあったアルミっぽい素材の耳かきも、けっこう気に入ってたんだよなー。まだあるんだろか。