衆議院議員選挙と共に行われる、と規定されている最高裁判所裁判官国民審査。司法の頂点である最高裁判所は最終司法判断をする機関の担当者であるため、本当にこいつは公正なのか? ということについて国民が意見を表明できる、唯一の機会。
ところが、これが機能しているかどうかは、疑問である。
みんな興味が無いのだ
そりゃ、それほど興味ないですね。実際に直接的に最高裁判所に世話になったことがあるヒトはほとんどいないと思います。でも、刑事訴訟にしても民事訴訟にしても、話がもつれて控訴したりされたりするうちに、最高裁判所の世話にならざるを得ない仕組みになっている。
憲法判断の終審しているのも最高裁判所。
ところが、ニュースになる憲法判断はいつも曖昧な部分が多いように感じられる。「違憲状態にあるが、ただちに違法とは言えない」というようなニッポン式な玉虫色判断で逃げ回っているのが実状のようであるのではないか。
でも、国民はとくに興味もなく、報道機関は充分な報道をせず、結果として、この国民審査によって罷免された最高裁判所裁判官は、まだいない。広報を見ても、興味を持たれないようなデザインで統一されているので、とくに注目されることはないと思われる。
審査方法も、罷免させない工夫
審査方法は簡単。衆議院議員選挙投票後に渡される用紙の名前の上に、罷免させようと思うヒトだけ×を書く。罷免させなくてよいヒトには印を付けない。空欄と×印以外は無効となる。もちろん◎とか△も無効。
つまり、広報をよく読んで理解したつもりになっても、いざ投票所に行くとその名前を憶えてられないから結局よくわからなくなっちゃうのだ。そして、よくわからないから取り敢えず空欄で提出しちゃうのだ。
取り敢えずだろうがなんだろうが、ビールはビールだし、審査は審査なのです。空欄で出すということは、「罷免させる必要はありません」という意思表示です。「よくわからない」という意思表示ではありませんので、わからないのならば「よくわからない」と書くべきかもしれません。そうやって無効票を増やそうという行為について批判があるとは思いますが、だからってよく知りもしないのに罷免させなくてよいという意思表示をすることを看過するのもどうなのか、と思いまして。
せめて、衆議院議員候補の掲示板に並べて、
- 最高裁判所裁判官国民審査があること
- その氏名と写真
- 広報「心構え」欄の要約
このくらいは表示するべきなんじゃなかろうか。カネかかりますね。選挙カーにじゃぶじゃぶつぎこんでいる税金をまわしたらいいんじゃないかと思います。選挙カーに税金を投入するのは候補者の既得権なので、そこが改正される見込はまずあり得ませんけど。
【リンク】最高裁判所裁判官国民審査広報(PDF:約4.1MB)
書式のデザインについても考えてみたらいいのにな
役所の書式は「べつに現状で困らないし」という理由で、デザイン等が改められることがまず無い。だから、国民審査広報なんか一所懸命に作っても、興味がもたれるかどうかなんて作る側にはカンケーない。お前がデザインして国民がみんなよく読むようになったら罷免されたじゃねーか! とか訴状をつきつけられるのは、ちょっと勘弁! だったらおもしろい。
原付のナンバープレートがちょっとデザインされても月に2-3件、30件程度の批判で取り止めて事勿れとする。
かわいすぎて男性に不人気…姫路市、通常ナンバー復活
(略)
市主税課によると、しろまるひめのプレート発行数は8月末までの1年間で約5800件で、当初は窓口に女性らが行列をなすほど人気を集めた。だ が、バイク好きの男性を中心に「かわいらしすぎる」「自分のバイクに似合わない」などの理由から通常タイプを求める声が30件以上寄せられた。
(略)
交換されるプレートは廃棄処分される(略)。
(略)
(2012年9月15日 読売新聞)