山行といえば、もちろんみんな入念な計画や予習を欠かさない。ケータイも入らないような場所なので助けを呼ぼうにもなかなかそれがかなわないからだ。だからガイドブックや今ではネット等でも情報を収集し、予習してくる。可能ならGPS機能を合わせ持った地図アプリなどに行程を表示させたりすることもできる。
その「予習」が吉と出ることもあれば、そうでもないこともある。
予習が吉と出たりそうでなかったり
1. 予習が吉と出る場合
ネットでちらりと見かけただけの情報なのだが、星尾峠方面から線ヶ滝方面へMTB(マウンテンバイク……要するにチャリ)で下ろうとすると、岩だらけの部分を通り過ぎてだんだんスピードが出て来て快適に走行できる頃になって地図上B地点に到達するらしい。
でもB地点分岐の表示が解りづらく、ついうっかり田口林道方面へ行きすぎてしまうというのがそもそもの「星尾現象」。国土地理院1/25000地図では田口林道の終点で分岐するかのような表現になっているのだが、実際にはもう数十メートル北側に林道が長い。そして「お、ここから林道だな」となった部分にはもちろん分岐ではないので標識は無く、歩道よりも走行しやすいからそこそこスピードも出る。そこからちょっと行くと、控えめな標識が現れる。
見落としても、予習しているので「なんか変だな?」と気づき、分岐まで戻って来れるわけだ。
ホント、予習って大事ですので怠りなく!
2. 予習が仇となる場合
イモリの滝方面からA地点に出て、B地点を経て線ヶ滝へ出ようという時のことです。歩道(登山道)を歩いてB地点から左に分岐しようと思って歩いていると、やがて林道に出ます。
正解は右の方へ林道を少し進み、写真で影になって見えなくなる辺りから左に分岐して線ヶ滝方向へ下る歩道があります。でも、「林道に出たら左に分岐」と思って歩いて来ると、ここで左に進みたくなる気分もわからなくないです。左も結構いい道なんです。ここで左に行くと歩道のすぐそばの尾根づたいに進めるのですが、途中からとんでもない急斜面を下るコトになってしまいます。
左に行くのは間違いなのです。
標識はとくにありませんが、あまりにも道が立派なのでつい吸い込まれてしまうのを「新星尾現象」と仮に名づけました。
写真では、切った枝をおいて通せんぼしてあるように見えますが、写真を撮るために、そして後続者が誤らないように置いたもので、林業関係者が作業をするときにはきっとどかされてしまうことでしょう。
ここは、ハッキリ言ってわかりづらい! だから間違わないように敢えて紹介しておきました。
さらに、状況を混乱させていると思われる原因がもうひとつありました。
ついさきほど紹介したチャリに見落とされちゃう標識。行き先が「田口」「星尾」「荒船山」なのです。星尾峠から下ってきたならまだしも、イモリの滝から来たので、この分岐から線ヶ滝に行くために「星尾」方向へ行く……ということがうまく想像できないことがあるようです。イモリの滝から線ヶ滝へ下るのに「星尾」方向に行くと星尾峠に出ちゃうのではないか?という勘違いが発生しかねないわけです。
いや、実際に勘違いしたヒトもおられるわけですが。
標識を立てるのは、地元に詳しいヒトで、「星尾」と書けば星尾地区の集落へ行くという思い込みで書いたのでしょう。全然間違っていません。でも、星尾地区という言い方に馴染みが無ければ、まして星尾峠を通ってこなかったヒトならば、いったい何のコトかわかりづらい。せめて「線ヶ滝」と書いてあれば、地図にも載ってるし、よりわかりやすいことでしょう。
というわけで、落書きと言われても仕方がないが、マジックで勝手に書き加えてきた!
マジックで書いただけなので何ヶ月もつかわかりませんが、こうなっていれば勘違いもすぐに解消できるのではないか、と思います。この件については、機会があったら南牧村のどなたかに相談してみようと思います。まあ、相談したところで「そんな苦情は聞いたことがない」と一蹴されて終了だとは思いますけど。
一蹴されてしまったらば、どうしたらよいのだろ。
実は、こちらの標識もナントカしたいのだが
ついでにもう一つ思うところがある。星尾峠から下ってきて、イモリの滝・田口峠の分岐点(地図上A地点)の標識だ。
決して間違っているわけではないのだ。ただ、表示が簡略化されすぎてる。
この地点から線ヶ滝へは、おそらく「田口峠」と書いてある方向に進み、途中の地図上B地点から分岐するのが早いと思われます(1時間ちょっとくらい)。でもいきなりここで「線ヶ滝」と書いてある方向に進むと、イモリの滝を通り、威怒牟幾不動の下に出てから線ヶ滝に至るわけでです(2時間くらい)。そりゃねーぜ。
この標識の傍らには、こんな案内図もあるわけですが。
「線ヶ滝〜荒船〜立岩ルート」と書いてあるものの、トップレベルのタイトルにあるようにこれは遊歩道ガイドでしかないらしい。だから、ルートの違いによる距離や時間や難易度の違いについては全く触れられていない。「星尾」という地名も使われていないことから、途中で「星尾」という分岐が出て来ても、わかりづらい。ピンとこない。
案内図設置は親切なようでいて、実際にはそうでもないのです。
なので、この案内図または標識に、距離や時間等も入れたらもうちと親切かもなー……と思う訳です。ただし、あまり情報を詰め込みすぎてもスパムだし、その取捨選択が難しいですね。本当に。
いろいろ余裕があるヒトならば考えながら行動することが可能です。しかし、ちょっと余裕が無くなったヒトは藁にもすがろうとするので、不充分な情報を与えられると余計に焦って間違えを導きやすいように思います。そのためにも、標識「線ヶ滝」「田口峠」は少々不親切すぎなので、もうちと詳しく書き込んでも良いのではないかと考えます。
荒船山行に際して、この記事を偶然にも発見できた方は何のことだかご理解いただけたと思うので、星尾現象に悩まされるリスクもかなり減ったことを期待します。
くれぐれも、山歩きは余裕を持って計画的に!
威怒牟幾不動(12月) in Japan(360cities)