ニッポンでも、外国人旅行者にもわかるよう、標識等にローマ字を併記しているものがほとんどだ。この頃は中国語繁体や中国語簡体、朝鮮語ハングルなんかも付け加えられてカオスとスパムの中間みたいなことになっている看板も少なくない。
そんな時にこんな記事。
グローバル化の進行とともに、地域ブランディングが大切に。
だから地域や通りの名称を、海外の人たちにも正しく覚えてもらうことが大事、ということで発想された、カラオケ方式で正しい呼び名の切れ目を、リズミカルにガイドするサイン。
WTPh? – What the Phonics from Andrew Spitz on Vimeo.
例示記事では、「デンマークの地名が隣国オランダから来た旅行者に理解しづらい」ということで、音節ごとに電光で音節の区切りを示しつつ音声もスピーカーから聞こえるというもの(写真では「sen」が光ってる)。
イントネーションと並んで、「音節区切り」っていうのは日常的に使わないと理解しづらい変則的なものがあったりする。同音異義語の多い言語ならなおさらわかりづらくなってくる。「たかおかし」が「高尾菓子」なのか「高岡市」なのか、前後の文脈も脈絡もなく言われたらさっぱり理解できなかろう。
そこで、ふと思い出した。
「SENGA」ってなんだよおい!
ニッポンでは川の名前の多くは「◎◎川」と書き、「まるまるがわ」または「まるまるかわ」と呼ばれている。湖は「◎◎湖」、道路は「◎◎道」、橋は「◎◎橋」だったりすることが多い。
中学進学して英語に触れると、神奈川県東部あたりでは学校にひとりくらい
「多摩川は英語ではタマリバー(Tama River)だ、溜まり場じゃねぇぞ」
とかいう英語教諭がいるかもしれない。でも、10代の時からうっすらと疑問を持っていた。それって「たまがわ」が呼称であり英語では「タマガワリバー」じゃないのか、と。でも、そんなこと受験にカンケーないし、健康にただちに影響があるわけでもないし、中学生はもっと他に興味を持つことが多すぎたのでそんなオヤジギャグはさらりと受け流していた。
ホントはこゆとこ受験に関係するべきなんだろけど、それを差し置いてもオトナになってから改めて考えてみると、やっぱりおかしくね?
線ヶ滝へ導く標識なのだが
こういう道案内標識を見ながら出かけるヒトたちはみんな、「センガ」を目指しちゃってるわけだよね。英語は「SENGA」でいいんだろか。
不器用で髪を結うのがへたくそなことを責められた娘「お線」が飛び込んだから「線ヶ滝」。その「ヶ」には意味が無いのだ。だから意味としては「SEN WATERFALL」でもいいくらいだ。中国語表記はそういう哲学を感じられる。
でもそうすると「呼称」としての意味がわからなくなってしまうので、「SENGATAKI WATERFALL」とするのが適当なのではなかろうか? 外国語に精通していなくても、言ってることの中に「センガタキ」って出てくれば「線ヶ滝に行きたいのかな?」と理解できる可能性が増えるが、「センガワラフォー」とか言われた日には英語と地域の地理との両方に精通しているヒトだって戸惑うんじゃないか。
翻訳できる部分は全部翻訳しちゃうというやり方は、
- 「That’s all right! 」を「あれは全部右」とか
- 「返却口」を「A return mouth」とか
という発想と、あまり変わりないんじゃなかろうか。「マウントフジ」がキョーレツすぎるからという右にならえ的硬直思考すぎです。
管理者の御役人様をとっつかまえて詰問したところで、どうせ「習慣だからしょーがねえ」としか答えないのだろうから質問もしません。学識経験者とか、何やってるんだろね。未来は老害のために発展を損なってはいけないんじゃないでしょうか。今まで誰も言わなかった「グローバル化」とか言いたいのであれば、そろそろどこかで誰かが、「習慣とは違う視点で考えよ」と発言するべき時期なのかもしれません。
せめて統一した方がよいのでは?
ふと気になったので、もう少し離れた場所にある案内標識を見に行ってみた。
あちゃー w(+。+)w やっぱりそうだった。もうひとつには「Sengataki Falls」って書いてある! そして察するに、2枚は村と県がそれぞれ設置しているとみられます。そしてそれぞれの見解を持ち、共有せず、すり合わせることもしないまま事業を推進しているようです。
縦割り行政を非難するわけではありません。でも「Sengataki Falls」を目指していたら、途中から呼称が「Senga Waterfall」になっちゃうのって、やぱし不親切ですよね。自分がそういう立場だったらどうなのかということを、よく考えねばならない。
ところが、実直で生真面目な御役人様どもは、自分たちは全然遊びに出かけないからわからないんだな。遊びに出かけないから困った経験も無いから、ただ目の前に降ってきた事業をこなすだけになってしまう。カネ持ってんなら、もっと遊べよ! 御代官様!
中国語表記にしても「線瀑」とするよりも、語感を大切にして「線之瀑布」とした方が、より「線ヶ滝」っぽい雰囲気に感じますよね。
このようなことは、エラいヒトの鶴の一声で一斉になんとかしてもらいたいものだけれども、文部科学大臣も国土交通大臣も観光庁長官も互いの領域を侵したくないから言わないだろうなー。まぁそれ以前に、案内標識に何て書いてあるかなんて見たこと無いんだろうけど。そして、何か指摘されれば末端を責めておしまいなんだろな。
「ただちに健康に影響は無い」って言い切るとか。
VISIT JAPAN 活動も大切だけどな
「Yokoso! JAPAN」活動は1年間で終了しちゃって、結局何だったんだという感じが残るキャンペーンだったけれど、地道で目立たないこういう標識を考えることは、もっともっと、まだまだ必要なんじゃないかと思います。
いたずらに表記言語を増やすのではなく、見たヒトがわかる! という表現を研究するべきでしょう。佐藤卓様とか小山薫堂様とかナントカデザイン研究所とかナントカグラフィカとか、そういうヒトたちは、もっとググっと提案してみてください!!