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人名漢字と文字コード


9月11日朝のNTTドコモのプレスリリースには、衝撃を受けた方も多かったのではないでしょうか。これが21世紀のニッポンにおける最有力級の通信会社の底力なのだ、と!

NTTドコモ プレスリリース(抜粋)

何をいまさら、とか思いました? それでは、もっと拡大して見てみます?

NTTドコモ プレスリリース(抜粋)

不自然な部分がありますよねえ。文字コードに無い字は画像として表示する、これは当然そのようにするのが適当かと思いますが、2つの点において驚いたのです!

  • その文字は、文字コードとして登録されている(はず)
  • 画像のクォリティが低すぎる

文字コードとして登録されているのではないか? と探してみた

念のため、文字コードから漏れてしまっているのかどうかということを確認しようとしておりますが、その前に人名漢字の取り扱いについて表面的なことを少しだけおさらい。

人名漢字の取り扱いは、面倒でややこしい

ニッポン語を取り扱うというだけでもかなりの科学技術の粋を結集していることは確かです。ただでさえ文字数が多い日本語において、さらにややこしくしているのが人名漢字です。今から新たに名付けて戸籍登録しようとすると、「この字、こっからここまで!」と決められてしまっていますが、以前の手書き登録だった名残はそれらの人物が生きている限り続いています。なので、

  • 常用漢字に似ていて
  • でも惜しいけど違ってるのだが
  • 戸籍にそう登録されてしまっている

という姓名に関してはそれを継続して使ってよいことになっているそうです。あそこの棒が飛び出るの飛び出ないのとか、簡略化するのしないのとか、変体仮名とか、そういった、登録者の勘違いかこだわりか、担当者の書き写し間違えか……ということで、似た字がすごくたくさん登録されているのです。「華子」を書き間違えて「芋子」と戸籍登録しちゃうのとは訳が違うのです。

unicodeの時代到来

日本語の文字コードを JIS(日本工業規格)で扱っていました。それを、コンピュータで扱うすべての文字をISO(国際標準化機構)で統一規格として扱いましょうとして始まったのがunicode(ユニコード)。この中に「薰」が含まれているのは確かです(U+85b0)。

そこでふと思い直して、NTTドコモ社のウェブサイトで使われている文字コード Shift-JIS はどうだっけな、と思って調べてみたら、「薰」の字は JIS X 0213:2004 に含まれていました。

なんだよ。

ただし、IBM拡張人名漢字がどのくらい多くのパソコンで使われているかはわかりかねます。それでも、少なくとも unicode  にしておけば間違いないんじゃない? とは思います。

文字コードが unicode であるあるページを Mac OSX + Chrome 29.0.1547.65 で表示した場合。

「薰」の字(Mac)

同じページを WindowsXP + Internet Explorer 8.0.6001.18702IC で表示した場合。

「薰」の字(XP)

IE8では少しつぶれはあるものの、概ね大丈夫のようです。わざわざ画像化してクオリティを下げる必要はないのではないか、というのがフォトPとしての考えですがいかがでしょうか。

画像化してもいいが、画像がなぜアンチ「アンチエイリアス」なんだ?

たしかに、アンチエイリアス(周囲のギザギザをなめらかに処理する仕組み→ただしすこしぼやけて見える)を嫌っているWindowsXPユーザが多いらしいとは聞いています。それほど多くないのではないかと思われ、いろいろな統計からおよそ30%以下なのではないかと推測しています。

そこがdocomo社のコアユーザ層なのですかねえ。冒頭の画像と見比べてみてください。

NTTドコモ プレスリリース(抜粋)うまいこと、馴染んでる……。そのクォリティで良いのなら、赤の他人であり頭おかしくもある奴が言うことではありませんが……。でも、IE9ではもうずれちゃってますよー…… ε=(ノ_ _)ノ

NTTドコモ プレスリリース(抜粋)

まさか、その文字はフォントに登録されていない?

WindowsXP等において標準的スクリーンフォント「MS ゴシック」に登録されていない、という可能性についても考えてみましたが、バージョン5.0にはすでにJIS X0213:2004が搭載されているっぽい。だから、敢えてリスクを冒してまで画像化する意味が無かったのではないか、と思うのです。

そういえば、文字コードはともかく、XP+IE8で表示されたと例示したばかりじゃないですか!

じつは、docomo社のスタンダードな取り組みでした

社長のお名前だけでなく、会社概要ページにおいて実際には多くの役員の皆様が同じような扱いになっていました。

NTTドコモ役員紹介

これについても、XP等におけるアンチ「アンチエイリアス」なブラウザで見れば、当然よく馴染んで見えるわけです。つまり、こうすることがdocomo社のスタンダードのようなのです。

「髙」「﨑」「隆」「廣」けっこう、どれも出せると思うのですけど……ケータイとかになると見えなくなるとかそういうこと?(当ページはunicodeの扱いとなっており、Shift-JIS が基本のケータイでは見られない文字があります)

いろいろと考察してみたけれども、会社の方針ならば仕方あるまい。制作会社だって上からそう言われたら有効な反論ができない限り従うしかないですよねー。

最大限オトナな対応ということなのでした。

【リンク】NTTドコモとApple、日本でiPhoneを9月20日(金曜)より提供開始(魚拓)

 201309116kaoru.gif
↑使われていた画像はこれでした。ちっさ!


Posted in ウェブ関連, 難しい日本語
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