アイソン彗星。「彗星の如く現れる」とはまさにこのことで、2012年に発見され、大彗星接近となると天文ファンの間では話題になっていたみたいです。しかし、天体に疎いフォトPとしては「まあ、どうせよく見えないし」とスルーしていました。
ところが知人に「おまえ家は星尾なんだから、アイソン彗星くらい撮ったよね」というようなことを指摘されました(実際にはもっとフレンドリーで丁寧で紳士的で1行では終わらない言い方で)。そんなー、スルーしてるとも言い出せず。どっちに見えるかすら知らないので、天文ショーで困った時のアストロアーツを参照しました。
ほとんど地平線
かなり低い位置に観測されるようです。これは考えてみればその通りなのです。
- 11月29日頃、太陽に大接近する
- つまり、太陽に向かって移動している
- ということは、太陽とほぼ同じ方角に見える
暗い時にしか見られない程度の明るさの彗星なので、
- 太陽の方角に、
- 太陽が昇る前だけ
見られるのです。めんどくさい。しかしワガママな子ほどなぜか愛せるのです。ドMですね。
南牧村で地平線を探す困難
群馬県南牧村は谷間に連続する集落の集合体です。もう関東平野は終了しており山地の入口なのです。ですから、まず東に開けた場所を考えるだけでも頭が痛い。フォトP東はすぐ山がある。
確実に東側が開けていると思いついたのは2箇所、黒瀧山不動寺と自然公園キャンプ場。
より大きな地図で 黒瀧山、自然公園 を表示
探せばまだあるはずだけれども他に思いつかない。四ッ又岳や鹿岳だって東の平野に向かってかなり開けているのだが……ハイキングコース。なんもくトレッキングガイド(予備)に載ってるような場所に、夜明け前にひとりでカメラかついで行かれない。だったら、車でひょいと行かれるところをチョイス!
黒瀧山不動寺の鐘楼前で眺めてみた
全くその気も無く、ただ奇跡的に23日朝5時前に目が覚めたので「彗星を捕まえろ」という天啓と勘違いし、顔も洗わずあわてて家を飛び出したのが5時頃。場所は考える余裕が無かったので、事前に検討してみた黒瀧山へ。到着したのは5時半過ぎ。
たまたま出てきた住職へ挨拶もそこそこに東の空を眺めてみると……水星らしき光。アストロアーツの参考資料を思い浮かべて右側を見遣ると、そこには何となく尾を引いてるっぽいゴミみたいな何かが写っていました。ちなみに、肉眼では全然見えていません。
もう、これは彗星(comet)の写真というよりは、水星(Mercury)の写真ですね。
時間が遅すぎなのです。遅すぎて日の出が近く、明るすぎるので、見えるモノもみえないのですたぶん。天啓じゃなかったんだな。星は画面左下から右上方向へ動いていきます。
せっかくなので住職に声をかけていただきましたから6時の鐘をつき、悔しいので日の出直前の静かな美しい紅葉を堪能してきました。
南牧村自然公園キャンプ場駐車場で眺めてみた
思いつきで行動してもうまくいかないのだ、そう反省したので、24日は計画的に目覚ましをかけて起床し、時間を合わせて家を出た。現地には5時10分頃到着。
コンパスを見て東南東の方向を確認すると……植栽! それでも、植栽の間隙から東南東の方向を眺めていると、やがて水星が高度を増してくる。そしてその右側に彗星が現れるはずなのだけど……山。そして5時33分頃、ようやく山の上に何かゴミかチリのようなものが写真に写りました。
もう、これは彗星(comet)の写真というよりは、水星(Mercury)の写真ですね(2度目)。
星は画面左下から右上方向へ動いていきます。つまり、彗星はつい1分前までは山の陰に……。
説明するのがややこしすぎるよ!
「水星の横っちょに、彗星が現れるんですよ。今 見えてるあの明るく光ってるヤツ? あれは水星です!」
初めは気づかなかったのですが、ややこしすぎる。言ってる方は comet と Mercury を区別しているんだけど、聞いてる方には区別が付かなかったことだろう。会話が終了し「じゃあ」って別れてから「通じてないんじゃ?」と気がつく、気のきかなさ!
また見えるかな?
太陽に近づいていくわけなので、日の出を狙うと彗星が見える時刻がどんどん遅くなっていて、つつまり明るくなってから見える位置に来るわけなので、もう25日以降は見られる気がしません。天気も悪いみたいですし。
こんなことなら、先週あたりのもっと早い暗い時刻に見られるうちに見ておくべきでした。でもまだ天啓を授かる前だったんです(そもそも啓示だったのかよ)。
地平線が見えないというところですでに約10分不利な南牧村。もう、星尾なんて関係ないじゃん! 黒瀧山は大塩沢だし、キャンプ場は熊倉だ。
さて、日本時間29日頃に太陽接近後、アイソン彗星は太陽エネルギーで粉砕されることなく輝きを増して我々の眼前に再び姿をあらわすことがあるのでしょうか?(もともと肉眼で見えてないからね!)
そして、太陽接近で砕け散らずに再び地球の民たちに見送られて通り過ぎると、アイソン彗星は二度と見ることができないんだそうです。
天文ファンは大彗星になると期待を込めて必ずそう言うようですが、パンピー(死語)にしてみれば肉眼で見えない彗星は無いのと同じ意味ですよねえ。
群馬県立ぐんま天文台で写真募集中!
県立ぐんま天文台では、デジカメの普及等で天体写真も身近なモノになったとして、アイソン彗星写真コンテスト開催中です。すでに受付は始まっていて、2014年2月16日(日)必着とのこと。です。
応募された写真は、28日から2014年4月6日までの間、壁に両面テープで貼り付けられ来館者が誰でも鑑賞できるようですので、見に行ってみよう!
【リンク】県立ぐんま天文台