JISがISOを準拠する、という言い方の方が正しいのかな。
洗濯マーク:国際規格に統一…14年度以降 絵から図形へ
経済産業省は1日、市販の衣料の洗濯方法を説明する日本工業規格(JIS)の「洗濯絵表示」を改正し、 14年度以降に国際標準化機構(ISO)が定めた国際規格に統一する方針を明らかにした。輸入衣料を国内で販売する場合、JIS表示を新たに付ける必要があり、海外から「非関税障壁」とみなされる恐れがあるためという。経産省は「輸入業者のコスト削減にもつながる」と話している。
ISOの洗濯絵は欧州約20カ国を中心に普及し、アジアでは中国が採用している。
アイロン掛けに適した温度は、JIS表示はアイロンの中に「高」「中」「低」の文字で示しているが、 ISO表示はアイロンの中の黒丸の数(1〜3個)で表示する。適した乾燥方法についても、JIS表示は衣服などの絵で表示しているが、ISOは図形で表示されている。従来に比べて分かりにくくなるものもあり、経産省は消費者庁と具体的な周知方法や期間を検討する。【丸山進】
[毎日新聞 2012年06月01日 19時51分(最終更新 06月01日 20時31分)]
違う新聞では日本の非関税障壁には触れず、国際的に活躍する国内アパレルが一本化で便利になって良い、としか書いてなかったけど。
この問題は、実際には2007年頃(船場吉兆事件あたり)から話題になっていたようです。
日本向けの日本工業規格(JIS)で定められた表示はニッポン向けにかなりローカライズされているので、その表示にニッポン語が使われていたりします。だから、ニッポン語を使う唯一の民族ニッポン人にはとても親切ですが、それ以外のみなさまには不便があると思われます。
一方、国際標準化規格(ISO)では、偏った思想等にとらわれない、全地球の人類が理解することを目標にしているので文字が無く、まどろっこしい部分があることは確か。それでも、輸入衣料品を洗濯しようと思って悩むことも少なくなるだろうし、悪い提案ではないと思います。
2007年のアンケートの回答にもありますが、洗剤の容器等に簡単な選択表示解説を付けてくれたら間違える可能性も減るかもしれません! 洗剤パッケージ制作のみなさん、どうか今年中に検討をお願いします!
JISとISOの洗濯表示比較
ISO 3758:2012に規定されているランドリーマークと、JIS L 0217に規定される洗濯表示の違いを知ることは重要ですよね。
【リンク】株式会社消費化学研究所(繊維製品の洗濯絵表示JIS改正の検討について.pdf)
洗濯やアイロンはなんとなくわかるとして、干し方の表示ははちょっと曲者!
そもそも干し方かよ! という変わり様ですので、早めに憶えておいた方がよさそうです。他には、漂白関係もちょっと考えこむ。
繊維製品の洗濯絵表示JIS改正の検討について.pdfに解説されていますので参照してください。洗濯屋さん等の実業のみならず、家庭科の教科書も変えなきゃならないからいろいろたいへんだよなあ。ホントに。そして、ニッポン人はこういう変更が苦手。どうしても後方互換にとらわれすぎてしまうようです。
比較してみよう
現行のJISはこんな感じ(主なもの)。
これと同じように当てはめてみるとこうなります。
まず大きな特長としては、温度管理は数字(℃)の他に「●」が用いられるようになっています。識字率や異なる文字間でトラブルがないようにという配慮かと思います。「●●●」が高温で、水温もアイロンも「●」の数で示すことができます。
アンダーラインがつくと「弱く」。アンダーラインが2本つくと「とても弱く」。
ドライクリーニングについてはしばらく悩みそうですが、クリーニング屋さんに勉強してもらえば平気かな?とも思います。
漂白は、ニッポンの表示では塩素くらいしか漂白手段が無かった頃だったのか、塩素以外についての言及がありません。ISOでは、塩素と非塩素系(酸素系など)と表示ができます。
洗濯方法、アイロンがけについては、今日急に変わっても大丈夫そうですね。
ISOでは「絞る」ことについての言及がとくにありません。なのに空白にしなかったのは、「弱く絞る」「絞っちゃだめ」と言わない代わりに、このマークは「絞らずに吊り干し」という意味だからです。意訳ですね。
それに続く「干す」関係は、ちょっとわかりづらいので覚えなおさなきゃですね。左上に斜線が入るのはすべてにおいて「陰干し」のようです。真ん中に横棒1本入ると「平らに」、縦棒1本なら「つり干し」。この縦横の棒の数が増えると「濡れ干し」→「弱く脱水」「脱水しない」という意味になっていくようです。
外国では、「絞る」と「干す」がひとくくりに「脱水」になってるんですねえ。
※1)非関税障壁とは、関税以外の「不必要に煩雑な手続き」「数量制限」「国内業者への助成」などによって貿易を制限すること。