まず始めに、ページ制作者に向けて申しあげます。
離脱させたくないページには、広告等のリンクを表示することは損失拡大です
例示はダウンロードページですが、その他にも問い合わせフォームページだったり、ご注文確定ページであったり、「閲覧者を せっかくそこまで導いた」にもかかわらず、閲覧者は気が散ってうっかり広告をクリックしたりするものです。
こどもが、蝶々に気がついてそちらへ突進してどこかに行ってしまうような振る舞いは、オトナになっても続きます。
サイト制作者が、ダウンロードページに広告をベタベタ貼り付けておくサイトがよくあります。データベース運営者のサーバー運用費を広告収入によって稼ぎだす、ということはよくある話で、別に悪いとかそういうことは全く思いません。
しかし、広告出稿者は効果的に広告表示をさせるため、キーワード等をよく研究しています。だから、よくわからないアプリをインストールさせるために、ダウンロードページに向けて「ダウンロードはここですよ!」とアピールしている広告を出す。
広告出稿者はカネを払う側なので、広告についてよく研究しています。そしてセグメントもきっちりと分けていて、キーワードも効率よく入札しているものと思われます。とにかく本気なのです。
そんなプロ集団の餌食にならないよう、消費者は
- よく見て、
- よく考え、
- よく理解しなければならない
のです。
該当するダウンロードページへは、どこからかリンクしてきて「さて、ダウンロードしよう!」と思っているため、一番初めに目についた「Download」をクリックしてしまうことはよくあることでしょう。しかも上手に広告を作ってあるので、背景がページによく馴染んでいる。だから広告であることになかなか気づきにくい。
その次にはシンプルなダウンロードページ。わかりやすい説明作っています。しかも丁寧!
- ステップ1:セットアップファイルをダウンロード
- ステップ2:ダウンロードフォルダをクリック
- ステップ3:xxxx(指定の)ファイルをクリック
- ステップ4:xxxx(指定の)ファイルをダブルクリック
ダウンロード後の手順の説明は ぬかりなく、よどみなく、わかりやすい。もちろん、広告なんか表示をすれば、ついうっかり広告をクリックしちゃうということは、広告出稿者ならよくわかっていますから、広告もありません。「ダウンロードページはかくあるべし」というお手本のようです。
こんなに「ちゃんとして」いて親切なわかりやすいページから、うっかりダウンロードしてインストールまで行っちゃいますよね。きっと。
この親切が、命取り!
宗教の勧誘も、「何だかこのヒトはいつも親切だなー」と油断させといて、人情的に疑わせない雰囲気を醸成しつつ、最終的な落とし所に相手を陥れたりします。そーか、そーか。
まさにそのお手本通りのこのアプリは、マルウェアのようです。mal-
softwareをくっつけて縮めて「malware」
(こんなBGMを再生しながらお読みいただけたら幸いです)
そんなの知ってるよ、と侮る前に
この、マルウェアダウンロード〜インストールに至る案内方法ってとても良く出来ていると思いますので、ぜひともサイト制作者はお手本とすべきと思います。モノとしてはどーしょもないモノみんなほいほいダウンロードしてインストールしちゃっている理由を、おさらいしてみましょう。
導入の広告表示は、シンプルにわかりやすく、先頭に
広告を先頭に貼り付けたのは、ホンモノのダウンロードサイト運営者ですが、効率よく広告収入を獲るための常識として「コンテンツの、より先頭に近い所に」貼り付けるのがコツという常識があります。
ダウンロードサイト運営者はそれを知っていたので、わざわざなるべく先頭に広告を表示したのでしょう。まさかこんなえげつない広告を表示されるということについて無頓着すぎですね。
広告をクリックした先ではシンプルに、丁寧に
無駄に広告を表示すると、肝心なファイルをダウンロードする前によそのページに行ってしまう可能性がありますので、せっかく呼び込んできた意味がありません。
また、ページの構成はシンプルに、大胆に、わかりやすく。
説明も簡潔で、英語があまり得意じゃないヒトでもなんとなくわかりますよね。しかも、あまりにも丁寧なので、まさか自分が誤ってそのページに来たという感じがしません。
しかも、もともと「ダウンロードする気満々」なので、「そんな手順で」とわかりやすく説明されちゃえば、思い描いていた方法とちょっと違っていても、そうなのかと納得してしまうものなのではないかと思います。
ダウンロードした先でもシンプルに
この画像は、何をインストールするのかよくわからないようなぼかした表現で汎用的な報告画をフォトPで用意したわけではありません。実際にダウンロードして展開した画面です。おかしいですよね。表現が曖昧すぎですよね。
なので、あとは思い込みで、「目的のモノをダウンロードして展開できたファイル」と認識してしまい、ダブルクリックして敢え無くマルウェアインストール完了となるわけです。
あ、気づきました?
何も気づかなかった方は、もう一度、丁寧な説明のステップ4をご覧ください。
ステップ4:xxxx(指定の)ファイルをダブルクリック
似てるけど、「Installer.appをダブルクリック」とは書いてないんですよ! なので、説明を読んで「はてな?」と思いながらダウンロードしちゃったヒトも、生成されたファイルは何ともないどうでもいい名前「インストーラ」になっているので、油断してダブルクリックしちゃいますよね。
あー、こわいこわい!
内容よりも、親切さを重視する消費行動
内容を重視しないのはなんとなくわかる気がします。
- 取り敢えず、「それ」だったら何でもいい
- 価格ですでに判断が決着しているのであとはダウンロードするだけ
- 安心できるデザインのページに安心しきっている
おおまかに、こんな感じかと推察されます。とにかく、みんな本文をほとんど読んでいないのです。これはいろいろなメディアでさんざん取り上げられてきていることですので、ここでは説明しませんが、このページの本文もほとんど読まれていないだろうと思っています。
ただし、見出しはなんとなく理解しようとしていることでしょう。
手順なんかについても「ステップ1、ステップ2、ステップ3……」と番号が振ってあると、その順に従って「ステップ1、ステップ2、ステップ3……」は読みますが、それらに続く内容に関してはほぼ当たり前のことが書かれているので流し読みになってしまいがちです。
悪いやつから学ぶことはいろいろある
悪事を真似ろとは口が裂けても申しあげられません。しかし、悪事をはたらく彼らは、平民のココロをうまくつかんでいるのです。
- ページの先頭に近い所で、ズバリ(この場合は「ダウンロード!」)と言い切っている
- シンプルでわりと大胆なデザインのページで
- 簡潔で丁寧な説明をして
- クリックすべきボタンは大きめでよく目立つ
そして、ダウンロードボタンのすぐ近くに「Please read carefully」と書いてあるけれども、とくに注意を払わないのです。