年賀状が発売され、11月となると、年末に向けていろいろとそわそわする時期となりますね。そして、早めに送ってあいさつしておきましょうとアドバイスされるのが喪中はがき。
「喪中ですから新年のあいさつを省略しますが、来年も変わらぬおつきあいを頼みます」という挨拶状ですね。
しかし、この頃はその意味だけでなく、死亡の通知そのものを喪中はがきで済ませるというスタイルも一般化してきています。亡くなった時も、葬儀等の告知も、何も送ることなく、いきなり喪中である宣言をするタイプです。
喪中のあいさつには遺影を入れて故人を偲びましょう
なにも黒リボンをかけた額縁に入れるだけが遺影ではないのです。また、挨拶状ですから弱り切った写真を使うこともなく、元気だったときの写真の方が感じがいいかと思います。
葬儀に参列していただくことなく、故人を偲ぶ機会も与えないまま、ただたんに年始のあいさつをしませんよと言うだけではいかにも事務的でドライすぎませんか。どうせそのようなスタイルになってしまうのでしたら、故人がどのくらい素敵な人物であったのかを紹介するまでもなく納得できる写真を使うのはどうでしょうか。
趣味や特技などがあれば、そのシーンを切り取った写真をお使いになるといいと思いますし、ご家族みなさんで写ったものがあれば、説明せずとも近況報告になってよろしいかと思います。
写真は故人にこだわることもないという考え方
死んだヒトの写真なんか縁起が悪いから貰いたくない、という意見もあることでしょう。死んだヒトの写真入りはがきをもらっても捨てるに困ると言うヒトもおられるでしょう(生きているヒトのやつはどんどん捨てるのにな)。
そういうところに配慮したり、故人の奇跡の一枚が見当たらなかったり。また、実際に「今後ともよろしくおつきあい」するのは生きているわたくしたちなのですから、「わたくし」の近況を知らせ、相手に心配させない内容にしてもよろしいかと思います。
その辺を折衷した、故人と一緒に撮った家族写真をお使いになるケースが多いようにも思います。そうですよね、「わたしの◎◎が亡くなりまして……」と言っても、わたしの◎◎を知っている方ならば遺影でもよさそうですが、知らなければただの他人と同じことですものね……。
喪中の案内を出す意味
冒頭にも記しましたように、
- 年始のあいさつはしませんが
- あなたをどうでもいいと思っているわけではないですから
- 来る年も変わらぬご厚情を
という通知が、喪中はがきです。しかしこの頃では何でも過剰に意味を付け加えることが常識となっていますので、上記内容に加え
- だから、年賀状受け取りも拒否します
おめでとうとか言ってくるなよ、察しろよ!
という意味も含まれているととらえられがちです。触らぬ神に祟りは無いだろうという国民性から、喪中はがきを受け取ったらその相手には年始の挨拶に行かないだけでなく年賀状も出さないのが一番の安全策とされています。
まあ「こっちは家族が死んでるのにおめでとうじゃねえだろ!」という言い分はわからなわけではないのですが、それは意味を考えずに言葉の表示だけしか認識できていないということと思われます。なぜならば、喪中でも旅行に行くし引っ越しもするし、誕生日や合格や受賞や栄転だって祝福するし、意味もわからず世界遺産登録まで「祝」で華やかに彩られるし、この頃は予定が狂うと困るので結婚式だって構わず催行するこのご時世、年頭のあいさつに関してだけはこんなに悩むとはおもしろい国民性ですね。