呟いッターで知人がこんな嘆きを呟いていた。
このメニュー写真を見て、600円のセットメニューだと思って注文したのは、一番上の文字までちゃんと読まなかって自分が悪いのだろうか?
一番上のテープライターの他にも、価格の脇に「A la carte」と記されている。でも、確かにわかりにくい。ニッポンでは英語などの外国語を併記する習慣があるけれど、文字情報というよりもただの飾りか模様としか認識されない。よく読んだところで、間違っているか意味が無いか、たんにローマ字で書いてあるだけだったりするので。
画面にいろいろな商品が描かれていると、まるっとそういうセットかと思う層がだいぶいるだろうということは想像に難くない。
わかりにくいポイントを整理してみよう
- いろんな品物が、同じ「重み」で並んで描かれている
- 個別商品であるということには触れられているが「A la carte」では中途半端で「単品」であるとまで理解が追いつかない
- 後から付け加えられたテプラは、それでもカッコよさ優先されすぎている。まるで画面外のように上辺にへばりついているだけなので重要事項の説明になっていない。
ざっとこんなところ。
この店は、シンガポールから日本に上陸した店ということで、見た目のデザインについては本国の本部の承認が無いと店舗で使えないという可能性はある。
デザイナーの現場にお願いします
日本はわりと特殊な感覚を持っている人種らしく、ホームページも日本語版はグローバル版とレイアウトが大きく違うことがよくある。なのでニッポン人マインドを採り入れたデザインの方が、売る方も買う方もやりやすい。
さらに言えば、世間で崇拝されているデザイナーは、わかりにくいと言われることに優越感と特別感を覚えているのではないかという疑いもある。その有名デザインを理由も効果も考えずに真似せよという見えない圧力に軽々と屈しないでほしい。
意味も効果も無いデザインにより、接客の現場ではテプラ的なものが重宝されすぎ。ニッポンでは利用者目線で物作りできるという特徴がある。そんなのニッポンしかやってないとか軽視せず、ぜひとも「それを見た客がどう思いどう行動するか」というUXを検証しつつデザインを進めてもらいたい。
解決に向けてちょっと提案
- どの商品を説明しているのかを明確にするため、友情出演の品物は控えめに
- 「A la carte」はニッポンでは意味が通じにくいので、ニッポン語で「単品」と表示
また「カヤあんこ OR つぶあんバター」という表記が、よりセット品ぽい雰囲気になりやすいので、別々に価格表示して単品感を向上 - 飲み物も一緒にどうぞ、とセットではないことを示唆
アンケートを取ったわけではないが、「A la carte」と言うと、ニッポン語解釈で「単品」とはスルッと変換できず、「アラカルト」はアラカルトとして認識するように思う。でもそれ以外に英語で言いようがなさそうなので、仕方ない。
ニッポンに適切にローカライズさせるとなると、売りたいドリンクとセットにした価格を表示しておくと、注文時間は短縮できるのではないかと思う。そして控えめに単品価格も見せておくという程度がよかろう。
ついでに、隅っこに「Limited time only!」とか書いてあるのに気づけるかな? 時間限定と描かずに、提供可能時刻を「2:00 – 3:35 PM」など表示した方がわかりやすくて親切だ。時間限定ってそういう意味だよね?
見る人の立場をもっと理解しよう
この頃のデザインは、生活体験が不足しているのではないかと思うものが多い。グラフィックに限らずプロダクトデザインもそう思うことが多い。機能を搭載することとコストを下げることに力を注ぎすぎなのだ。実際に使う人を考えなければ、結果として単価を上げづらく、リピートしてもらえる割合も減ることだろう。
このメニューで言うならば、何とか食べるという体験にまでこぎつけて、美味しいと思ってもらっても、注文する体験で躓けば支払いの時にまた禍々しい注文を思い出して、次に来店されるかどうかはビミョーな感じになってしまう。ちょっとしたことが、本当に残念な結果を導き出すのだ。
(他人の振り見て我が振り直します)