- とある学校に行った時、貼り紙に もやっとした違和感があった。内容は、ペットボトル処分に関する注意書きであって、おかしいことはとくにない。
近付いて見てみたら、こんなだった ε=(ノ_ _)ノ
画像頒布サイトのすかし入りなので違和感あるのだ。背景にはうっすら×印も見えていて、隠す気が無い。
たまたま教育現場で見かけたからアチャー w(+。+)w と思った。きっと企業内でも似たような事例はたくさんあるのだろうということは推測できる。
横行する権利泥棒
こんなことにカネ取るのか! という気持ちより前に、ネットに落っこちてたんだからいいでしょうということなのかもしれない。実際に教育機関ではこういう例は少なくない。公開しておいて使うなと言う方がおかしい、とでも言いたいのだろう。ちょっと使ったところで減るもんじゃないし、とか。
通常、ロイヤリティフリーな有料画像は、すかしが入った状態で提示されている。ウォーターマークを入れたままで利用することは一般的には許可されていないのだが、明示されていないこともある。画像の非購入者を特定するための手段であり、画像を正当に購入したことを証明するものであり、除去するには、画像を正規の方法で購入すればよい。
それでも、ウォーターマークも表示すれば無料でいいんだろう、という根性なのだ。
条件にもよるが、数百円程度からと低額で決して支払えない金額ではないはずだ。どうして支払わないのか、考えてみる。
1. 利用に支払い義務があることを理解していない
掲載ページに金額があるのだが、「ロイヤリティーフリー画像」と書いてあることでゼロ円で使ってよいと勘違いしてしまうようだ。
2023年初頭のニュースでは、学校便りのために「フリー イラスト」などのキーワードで検索されたものをダウンロードして使用したことで作者から損害賠償請求があり、11万円の支払いを命じられている。内容から推察するに300円から900円程度の少額で利用できるロイヤリティーフリー画像だったのではないかと思われる。しかし、そこに著作権があるなんで夢にも思わなかった学校は、調べることもなくそのまま使用して校長が責任を押し付けられたわけだ。
だから支払わなくていいという話ではない。
2. 支払い手段が限定
アカウントを作って購入するというのは、抵抗感というよりも面倒臭いという感じが先立つ。誰の名前でアカウントを作るのか? 支払い手段は誰名義の何にするのか? その数百円の稟議はいつ誰がどこで決裁するのか? 組織からの支払いは大口でも小口でも本当に面倒臭い。できればせめてポケットから小銭を取り出すくらいのことで決着つけたい。
だから支払わなくていいという話ではない。
3. その金額がもったいない(嫌儲主義)
たかがイラスト、誰でも描けるような単純なもの、自分で描く労力を労力を惜しむ分、小銭の支払いも惜しむ。
ちまちまイラスト描いてちまちま儲けやがって、という心情が沸き起こる勢力があるようだ。趣味でちゃちゃっと描いたものにカネ取って儲けるのかと。目に見える手に届く範囲の誰かが小銭を得ることに反感がある人は少なくない。全然見えないところで億の金を動かしている人には興味も向かないのに。
だから支払わなくていいという話ではない。
ネットリテラシーとかわかりにくいカタカナでごまかしたくない
表現には必ず著作権があるということを、教諭が全く理解していないのは明白。なんだったら学校という組織まるごとが優遇措置として自由だという空気すら感じる。問い詰めれば「知らなかった」「理解が浅かった」と言うだろう。青少年の指導者の代表格がこれでは困る。
学校でパソコンやタブレットを支給しても、生徒児童が自由に検索することを認めないなど、世界的に見ても独特な仕組な日本の教育現場。自分達を律することも危うく、教え子の面倒までみられない。
社会経験の乏しい子供達のみならず、指導者であるオトナたちもネットとどう接したらいいかわからないのだ。研究すらも研修もろくにしていないのだ。ただ管理することに忙しく、評価の数字を与えることで精一杯。だから数百円の著作物に対する注意も関心を向ける余裕が無い。
教材として雑誌や新聞や出版物をコピーして配布して権利者から見逃されてきたという文化も、大きな悪影響を与えているのではないか?
数百円のことなので、権利者も訴え出にくい状況というのもある。賠償すべき損害を算定する費用の方が高くついたりするかもしれない。だから逃げ得な事例が数多くあるのだろう。本人としては、逃げている意識すらなく、「ほら、とくに誰も何も要求してこないじゃん」「今まで咎められたことも警告を受けたこともない」という感じか。
少額決済がもっと簡単になるとよい
数百円を支払うために、会員登録してクレジットカード登録するというのはハードルが高い。法人としてアカウント取得してみんなで使い回せる環境ならなんとかなりそうだが、組織全体としてはフリー素材の扱いについて問題意識が無いのでとても叶いそうにない夢物語だ。
担当の職員がクレジットカードで立て替えても、それを回収する仕組みも面倒くさそうなので、QRコード決済でスパッと支払えたらよいのでは。売る方としてもCVR(コンバージョン率が)向上するだろう。貨幣の信頼が高度すぎる国においてキャッシュレスがなかなか浸透しないとはいえ、抵抗感が少ない若人にも効率を求める中高年にも広まりつつあるので、簡単な決済方法で少額を授受できたらよいのではないかと思う。